相続でよくあるお悩みのひとつが、
「親族の誰かがすでに住んでいる土地・建物をどう分けるか?」
という問題です。
たとえば…
• 「長男が実家に住んでいるけど、他の相続人と平等に分けるにはどうすれば?」
• 「兄が畑を管理してきたが、相続時にそれはどう評価すべきか?」
• 「姉が親と同居してきたが、私たちには何もないの?」
このようなケースは、感情的対立を生みやすく、相続トラブルの引き金になります。
今回は、土地家屋調査士としての現場経験と、相続診断士としての家族調整の知見から、「住んでいる人がいる土地の相続」についてケース別に対策をお伝えします。
■ ケース①|長男が親と同居していた「実家」の相続
【よくある状況】
• 登記は親名義のまま
• 長男が住み続けている
• 他の兄弟姉妹が遠方にいて、関わっていない
【問題点】
「同居してたから長男のもの」と思っていたら…
→ 他の兄弟が「不公平だ」と主張し、相続が揉める!
【対策】
• 早めに生前贈与か遺言で明確にする
• 評価額を明確化して、他の相続人に代償金を支払う設計
• 可能であれば土地を分筆して権利関係を整理
■ ケース②|兄が畑を管理してきた郊外の土地
【よくある状況】
• 長年、兄が無償で農地を管理
• 他の兄弟は関わっていない
• 地目は「畑」または「田」、固定資産税は全員で支払っていた
【問題点】
→ 「管理してきた兄が全てもらうの?」と不満が噴出
【対策】
• 兄の労務提供を寄与分として調整
• 農地の現況と面積を正確に測量し、他の財産と評価を調整
• 将来の売却・転用を想定して境界確定・地目変更の検討
■ ケース③|姉が親と二世帯住宅で同居していた
【よくある状況】
• 親の土地に姉名義の家が建っている
• 姉は親の介護をしていた
• 他の兄弟が相続分を主張
【問題点】
→ 土地と建物の所有者が違うため、売却・分割が困難に!
【対策】
• 土地と建物の名義関係を整理
• 測量と分筆で姉の住宅部分を独立させる
• 他の兄弟に対し、寄与分や代償金で調整
■ 相続診断士としてのアドバイス
相続トラブルの多くは、「不明確な所有状況」や「感情の行き違い」から起こります。
親族の誰かが住んでいる土地については、なおさらその傾向が強くなります。
相続診断士の役割は、
• 感情的な対立が起きる前に
• 正確な不動産情報を提示し
• 納得できる選択肢を提示すること。
そして、土地家屋調査士の測量・境界確定業務と連動させることで、より実務的な解決へ導くことができます。
【コメント|土地家屋調査士・相続診断士 竹内貞直】
誰かが住んでいる土地は、「感情」と「権利」がぶつかる最もデリケートな不動産です。
現地調査・測量・登記確認を通じて“事実を見える化”し、相続診断士の視点で家族の未来設計までお手伝いします。
相続で揉めないために、元気なうちから一度ご相談ください。
▶ まとめ:「住んでいる土地」は分け方で運命が変わる
状況 | 重要ポイント |
実家を誰かが使用中 | 測量と評価、遺言・贈与での明確化 |
農地を兄が管理 | 寄与分調整+境界確定 |
二世帯住宅の姉 | 土地・建物名義の整理+分筆検討 |
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