空き家問題の本質は“未登記”だった?活用できない物件の共通点とは


「相続したけど、何もできない家があるんです…」

最近よく聞くご相談のひとつが、空き家を相続したのに、売ることも貸すことも壊すこともできないという悩み。
よく調べてみると、その多くに共通していたのが…
「建物が未登記だった」という事実です。

相続登記の義務化が話題になる中で、“建物の登記”をしていないことのリスクが、空き家問題の本質的な原因になっているケースも少なくありません。
この記事では、空き家が未登記だとどう困るのか?どうすれば活用できるのか?を、実務の現場から解説します。


◆ なぜ「未登記の空き家」は活用できないのか?

空き家問題というと、「人が住まない」「老朽化している」「管理者が不明」などの要因が挙げられますが、実はその背後に“建物が登記されていない”という根本原因が隠れていることがあります。

◎ よくあるケース
• 土地は登記されているのに、建物の登記がされていない
• 祖父母が建てた家がそのままになっていて、名義不明
• 固定資産税は払っているが、登記簿上は存在しない建物
このような未登記状態だと、法務局上では“建物が存在しない”ことになっており、第三者への説明や取引が非常に難しくなります。


◆ 未登記だとできない3つのこと

① 売却できない
建物が登記されていないと、買主は所有権を移せないため、売買契約そのものが成立しにくくなります。

② 解体にも支障
行政に解体補助金を申請する際、建物の登記簿が必要になる自治体もあり、未登記では補助対象外になることも。

③ 利活用が進まない
賃貸・リフォーム・空き家バンク登録などを行うにも、登記情報がなければ行政・金融機関との手続きに支障が出ます。


◆ なぜ建物が未登記のまま放置されてきたのか?

• 昭和〜平成初期に多かった「とりあえず建てたが登記は後回し」な文化
• 相続人が建物の登記の必要性を知らなかった
• 増築・リフォームをしたが、その都度登記しなかった
• 固定資産税は払っている=登記されていると勘違いしていた
実際には、「登記されていない建物」は相続人にとって“存在しているのに動かせない資産”になってしまいます。


◆ 相続しても動かせない未登記建物の解決方法

解決には、以下のステップが必要です。

① 建物表題登記(登記簿に建物の存在を記載)
土地家屋調査士が現地調査・測量を行い、建物の位置や構造を図面化して申請します。
必要書類の例:
• 建物所有権証明書(相続人全員の上申書)
• 建築確認書類または現況写真
• 測量結果図面(現況図)

② 所有権保存登記(建物の名義を登録)
司法書士が相続手続きの一環として名義変更を行います。


◆ 放置すれば、ますます“負の遺産”に

空き家の登記が未了のまま年月が経つと…
• 建物が老朽化して危険になる
• 相続人がさらに増えて、権利関係が複雑になる
• 固定資産税だけがかかり続ける
• 周囲に迷惑をかけることに
こうなる前に、未登記問題は「今の世代」で終わらせること」が重要です。


◆ まとめ:空き家を活用できる資産に変えるには「登記」が鍵!

✅ よくある問題 ✅ 解決方法
建物登記なし 空き家相続 表題登記+相続登記
利活用できない/売れない 所有者を明確にすることで道が開ける
相続しても困るだけ 放置せず、早めに専門家へ相談


◆ 土地家屋調査士×相続診断士 竹内貞直コメント

空き家になってすぐだと、そのまま利用できる。(売りに出すことができる)
放置してしまうと、違法労働者が住み着き、治安の悪化も懸念され周囲から管理責任が問われることもある。だから資産になるうちに早めの対処が必要なのです。
当事務所では、未登記建物の登記・測量・相続サポートを一貫して対応しています。
相続した空き家の利活用や名義変更にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

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📚 参考リンク(公式情報)

法務省|相続登記の義務化
国土地理院|地積測量図・地図整備について
日本土地家屋調査士会連合会|調査士の業務とは

※この記事は、滋賀県大津市の土地家屋調査士・相続診断士 竹内貞直が、相談事例をもとに解説しています。


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