はじめに
「親の家を相続したら、あとで増築したと思われる部屋や離れが登記簿に載っていなかった」
そんなご相談を、滋賀県大津市でも多くお受けしています。
特に昭和年代に増築された部分が未登記のままになっていて、
相続手続きや売却・建て替えの段階で大きな足かせになることが少なくありません。
今回は、増築部分が未登記のまま相続された場合に行うべき3つの手続きと、
放置したときに待ち受けているリスクについて、
土地家屋調査士/相続診断士の立場からわかりやすく解説します。
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1.増築部分の未登記とは?
- 建物全体は登記されていても、あとから増築した離れ・倉庫・車庫などが登記されていないケース。
- 理由:建築確認を取っていなかった/登記費用を節約した/申請を忘れたなど。
- チェック方法:固定資産税の課税台帳・納税通知書の家屋番号欄などを確認。
2.相続時に増築未登記部分があるとどうなる?
- 所有者の特定が困難 → 遺産分割協議がスムーズに進まない。
- 相続登記(所有権移転登記)だけでは済まず、
増築部分の表題登記・所有権保存登記が必要になる場合も。 - 売却・リフォーム・融資で、金融機関や買主から敬遠されることも。
3.増築未登記部分がある場合の「手続きすべき3つのポイント」
① 現況把握・測量・図面作成
増築時期・構造・面積などを調査。必要に応じて測量・図面を作成します。
② 所有権を証明する代替資料の準備
施工業者の請負契約書・領収書・固定資産税台帳・名寄帳などを活用。
③ 遺産分割協議書・登記申請の実行
協議書には「増築部分も○○が取得する」と明記を推奨。
手続きは「表題登記 → 所有権保存登記 → 相続登記」の流れで。
4.放置すると起こる「3つのリスク」
リスク① 売却や建て替えができなくなる
→ 買主・金融機関が敬遠し、売却・建替えが遅延。
リスク② 相続人が増えて協議が難航
→ 世代交代で資料が散逸、解決がさらに困難に。
リスク③ 法律違反・過料の可能性
→ 新築・増築後1ヶ月以内の登記義務あり。怠ると10万円以下の過料。
5.なぜ今、滋賀県大津市で“増築未登記×相続”の相談が増えているのか?
- 昭和40~50年代建築の住宅が相続期を迎えている。
- 当時は登記手続きが今ほど厳格でなかった。
- 「親の代で増築したまま」「資料が残っていない」ケース多数。
- 相続登記義務化・空き家対策などの社会的背景も影響。
💬 土地家屋調査士×相続診断士 竹内貞直 コメント
2016年ごろ「所有者不明土地問題」で、
九州本島全体を上回る面積の土地が登記未了と報道されました。
これを契機に、国は相続登記だけでなく、
建物登記や関連手続きも義務化の方向へと進んでいます。
登記は日常生活から離れた分野ですが、
相続・売却・建替えのタイミングは“現実の問題”として避けられません。
この機会に、未登記部分を明確化し、
次世代にトラブルを残さない準備を進めておきましょう。
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所有者が不明確で、土地や建物が「不動産登記簿」に登録されていない状態のこと。
一般的に「登記漏れ」、「登記忘れ」、「登記されてない」「登記必要?」の建物と呼ばれています。
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