遺言があるのに揉めた理由は不動産だった?〜境界不明・名義ミスが招く“想定外の相続トラブル”〜


「うちは遺言書があるから大丈夫」

そう思っていたご家族が、まさかの相続トラブルに発展するケースが増えています。
その原因の多くは“不動産”に関する見落とし。
特に境界が不明だったり、名義に誤りがあったりすることで、
遺言の内容がスムーズに実行できず、
「揉めるはずじゃなかった相続」が争続に変わることも。

本記事では、相続診断士かつ土地家屋調査士の視点から、実際にあった“揉めた相続”の不動産トラブル例と、未然に防ぐための対策をお伝えします。


【遺言があっても“うまくいかなかった”相続の事例】


ケース①:「この土地は長男に」…でも境界が不明

ある家では、父親の自筆遺言書に「A土地は長男に相続させる」と明記されていました。
しかしその土地は昔ながらの農村地で、隣接地との境界が曖昧なまま。
測量してみると、一部が隣地に越境していたことが発覚。
話し合いは難航し、遺言の実行も売却もできず、結局兄弟関係が悪化してしまいました。


ケース②:遺言のとおり登記しようとしたら「名義が父ではなかった」

別の家庭では、父親名義のつもりだった土地が、実際には祖父名義のままになっていたことが判明。
遺言では「子どもAに相続させる」となっていたものの、そもそも被相続人の所有ではないため遺言は無効。
改めて祖父からの相続登記や相続人調査が必要となり、大混乱に。


ケース③:「土地を半分ずつ」で兄弟バトル

「この土地は2人で半分ずつ相続する」と記載されていたが、
土地の形状がいびつで、物理的に“真っ二つ”にできないケース。
兄「こっちを俺にくれ、車が停めやすいから」
弟「じゃあそれに見合う金額を払って」
→ 遺言があっても遺産分割協議がまとまらず、泥沼の交渉に


【不動産が絡む相続トラブルを防ぐには?】


① 境界確定測量を事前に実施

土地の正確な位置・広さ・形状を測り、隣地との合意を取ることで、
「分け方」や「使い方」の計画が立てやすくなります。


② 登記内容を生前に確認・整理

名義ミス・未登記・地積の不一致は、生前であればスムーズに修正可能。
いざ相続が始まってからでは、手続きが大幅に遅れます。


③ 相続診断士による“想定シミュレーション”

• 遺言の内容が実務上スムーズに実行できるか?
• 感情的な対立が起きそうな部分は?
• 不動産の分け方に無理はないか?
第三者の視点で相続の落とし穴を事前に洗い出すことが、後悔しない相続への第一歩です。


【土地家屋調査士×相続診断士 竹内貞直コメント】

私はこれまで、相続診断士・土地家屋調査士の両面から、
多くの“不動産が原因の相続トラブル”に向き合ってきました。
遺言は大切な意思表示ですが、不動産の現況と内容が一致していなければ、意味を成さないこともあります。
トラブルを防ぐために、生前の登記・境界の確認、相続のシミュレーション相談をおすすめします。


【まとめ】「遺言+不動産の整備」が揉めない相続の鉄則

• 遺言があっても不動産に問題があると“争続”になる
• 境界不明・登記ミス・分けづらい形状は事前対策が不可欠
• 相続診断士×土地家屋調査士の連携で、相続準備をスムーズに


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📚 参考リンク(公式情報)

法務省|相続登記の義務化
国土地理院|地積測量図・地図整備について
日本土地家屋調査士会連合会|調査士の業務とは

※この記事は、滋賀県大津市の土地家屋調査士・相続診断士 竹内貞直が、相談事例をもとに解説しています。


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