数次相続で空き家の名義が何代も渡り、相続人が全国に散らばって連絡が取れなくなるケースは珍しくありません。こうした状況では、建物が未登記のまま放置され、相続登記や売却が進まないトラブルが多発しています。
この記事では、数次相続で相続人が連絡不能な場合の未登記空き家のリスクと、具体的な対応策を解説します。
数次相続で空き家が未登記になる背景
数次相続とは、相続が何度も繰り返され、所有者の名義変更がされないまま放置される状態を指します。
例えば祖父の代に建てられた家が、父に相続され、さらに子へ…と続く中で、誰も登記を行わずにいると、名義が曖昧なまま空き家だけが残されてしまいます。
相続人が連絡不能になる理由
• 相続人が全国に散らばり、住所や連絡先がわからなくなる
• 相続人の中に音信不通の人がいる
• 相続人が多数で調整が困難になり連絡を取る気が失せる
こうした状況は登記の遅れを招き、法律上の所有者が明確にならず、売却や管理もできなくなってしまいます。
未登記空き家が抱えるリスク
• 相続登記ができず名義が曖昧のまま固定資産税が課される
• 売却や貸出、解体などの意思決定ができない
• 空き家の老朽化や放置による近隣トラブルのリスク
• 相続人間での紛争やトラブルに発展しやすい
解決策１：戸籍調査で相続人を特定する
まずは専門家の土地家屋調査士や司法書士に依頼し、戸籍謄本を徹底的に調査。代替わりの履歴を正確に把握し、全相続人を可能な限り特定します。連絡が取れない相続人もこの段階で見つかることがあります。
解決策２：相続人間の連絡調整と遺産分割協議
相続人が多数でも、遺産分割協議書を作成して共有持分を明確化することが重要です。連絡がつかない相続人については、家庭裁判所の代諾制度を利用し、代わりに承諾を得ることも可能です。
解決策３：登記手続きの実行
遺産分割協議書の完成後、登記申請を行い正式に所有者を名義変更します。登記が完了すれば、その不動産の売却や管理がスムーズになります。
解決策４：数次相続を防ぐために早期の相続登記を
今後の問題防止のためにも、相続発生後はできるだけ早く登記を済ませることが大切です。登記の義務化（2024年4月施行）も追い風となります。
まとめ
数次相続で相続人が全国に散らばり連絡不能になるケースは、未登記空き家の深刻な問題です。戸籍調査による相続人の特定や遺産分割協議の適切な手続き、早めの相続登記がトラブル回避のポイントとなります。土地家屋調査士をはじめ専門家に相談し、問題解決に向けた一歩を踏み出しましょう。
【土地家屋調査士×相続診断士 竹内貞直コメント】
「数次相続による未登記空き家は、調査・手続きの複雑さゆえに放置されがちですが、放置は固定資産税や相続税の課税リスクも高めます。又、相続登記義務化により名義変更登記が放置できなくなりました。
私たち土地家屋調査士は、戸籍調査や現地調査を通じて正確な所有権把握を支援し、円滑な登記手続きのサポートを行います。早めの対処が何より重要です。
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