未登記建物があると登記簿上は「更地」扱い⁉

知らなきゃ損する税務の落とし穴


✍️ 執筆者:土地家屋調査士 × 相続診断士
竹内貞直(滋賀県大津市)


【まず最初に】

「家が建っているのに 登記簿では“更地”扱い —— これ、放置すると危険です」

最近、ご相談の中で非常に増えているのが、

「固定資産税は払っているのに、登記簿では建物なしと言われた」
「相続で土地を調べたら“更地”になっていた」

というケース。

この場合、未登記建物 の可能性が極めて高く、
そのまま放置すると 税金・相続・売却のすべてで大きな損失 が出ます。

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【見出し①】

「固定資産税」と「登記簿」はまったく別モノです

まず知っておくべき大前提はこれです。

比較項目固定資産税台帳(市町村)登記簿(法務局)
管理者市町村の税務課法務局
主な目的課税法的な権利証明
未登記でも建物を計上する?✔️ あり❌ 記載されない

つまり…

👉 **固定資産税がかかっていても

登記簿上は“更地”扱いになることがある**

税金を払っているから安心、ではありません。


【見出し②】

「更地扱い」になると税金で損をするって本当?

はい、本当です。しかも損失額はとても大きくなることがあります。

❌① 相続税の「小規模宅地等の特例」が使えない

登記簿に建物がない=居住実態の証明が難しく、
特例が否認されるケースがある ため、
相続税が数百万円以上高くなることも。

❌② 固定資産税の「住宅用地の軽減」が外れる可能性

未登記だと、住宅があっても 更地として課税 されることがあります。

❌③ 譲渡税・贈与税の評価が上がる

建物があると評価額は下がるのに、
登記がないと 評価が高い“更地”扱い → 税額アップ。


【見出し③】

登記簿に建物がないと起こるその他のリスク

  • 売却時に「建物が存在しない土地」として扱われる
  • 銀行融資で担保評価が下がる
  • 次世代で所有者不明化する
  • 相続人どうしの取り分トラブル

現実には家が建っていても、
登記がなければ 法的には“存在しない建物” となります。


【見出し④】

未登記建物の税務リスクを避ける方法

✔️ 1. 建物の「表題登記」をする(最優先)

土地家屋調査士が行う手続きで、
建物が法的に存在することを明確化できます。

✔️ 2. 必要書類を揃える

  • 所有者の本人確認書類
  • 建築時期のわかる資料(固定資産台帳など)
  • 相続時は戸籍・遺産分割協議書

※書類がなくても、現地調査・聞き取りで補完可能。

✔️ 3. 相続登記も同時に済ませる

法務局と税務署の“ズレ”をなくすことができます。


【竹内貞直(土地家屋調査士 × 相続診断士)コメント】

滋賀県では、
「古い母屋だけ未登記」「離れや倉庫だけ未登記」
というケースが非常に多く見られます。

そして実際に、

  • 相続税が高くなった
  • 税務署から説明を求められた
  • 融資が通らなかった

というご相談は珍しくありません。

👉 「固定資産税を払っているから大丈夫」

これは 大きな誤解 です。

未登記のまま相続を迎えると、
数十万〜数百万円の損につながることがあります。


【まとめ】

  • ✔️ 未登記建物は、登記簿上「更地」扱いになる
  • ✔️ 各種税金の優遇が受けられず 大損 する可能性
  • ✔️ 放置すると相続・売却・融資すべてで不利
  • ✔️ 対策は「建物表題登記」が最重要

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一般的に「登記漏れ」、「登記忘れ」、「登記されてない」「登記必要?」の建物と呼ばれています。

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📚 参考リンク(公式情報)

法務省|相続登記の義務化
国土地理院|地積測量図・地図整備について
日本土地家屋調査士会連合会|調査士の業務とは

※この記事は、滋賀県大津市の土地家屋調査士・相続診断士 竹内貞直が、相談事例をもとに解説しています。


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