■ 結論:図面がなくても登記はできます
「図面がないと登記はできないのでは?」
多くの方が心配されますが、未登記(=登記してない)建物の6~7割はそもそも図面が存在しません。
昭和40~50年代の古い家は、
・建築確認が不要だった時代
・大工さんが簡易なメモだけ残していた
・増築を繰り返し図面が散逸した
という事情が多く、図面がない状態は珍しくありません。
しかしご安心ください。
土地家屋調査士は「図面がない前提」で調査・測量を行い、代替資料を組み合わせて登記に必要な『新しい図面』を作成できます。
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■ 図面がないケースは全体の6~7割
実務で最も多いのが以下のパターンです。
- 祖父母が建てた家で、一度も図面を見たことがない
- 増築・改築を繰り返して原型が不明
- 市役所の建築課に問い合わせたが資料なし
- 家の所有者がなくなり、書類の行方がわからない
こうした状態でも、建物調査からすべて再構成できます。
■ 調査士が使う“代わりの資料”とは
図面の代わりになる「登記に使える資料」は意外と多くあります。
① 家の現地測量(室内・外部)
柱芯や壁厚をメジャーやレーザーで計測して図面化します。
② 現況写真
外観・内部の写真は、構造や築年数の判断材料になります。
③ 市役所の古い課税台帳
建物の「課税情報」が残っていることが多いです。
昭和時代の書類でもヒントになります。
④ 固定資産税の家屋評価調書
床材・外壁材・構造など、図面の代わりになる情報が得られることもあります。
⑤ 古い不動産売買契約書・権利証
間取りの一部が書かれているケースも。
⑥ 古地図・住宅地図(ゼンリン)
当時の建物形状がつかめることがあります。
■ 敷地境界が不明な場合の対処
古い建物では「どこまでが自分の敷地か分からない」ケースも少なくありません。
境界が曖昧だと、建物の位置を確定できず登記が進みません。
調査士が行うのは次の手順です。
- 古図面・分筆図・水路台帳などで境界の歴史を調べる
- 現地で境界標を探索
- 隣地所有者との立会調整
- 必要に応じて境界確定測量を実施
特に売却予定がある場合、境界の曖昧さは大きなリスクになります。
早めに調査しておくメリットは非常に大きいです。
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■ 最短の登記手順(図面なしのケース)
- 事前調査(過去資料の確認)
- 現地調査・建物の実測
- 図面の再作成(建物図面・各階平面図)
- 所有権証明書類の確認
- 建物表題登記の申請
状態によりますが、最短で2〜4週間で登記できるケースもあります。
■ 費用について
図面が残っていない場合の費用の目安は以下です。
- 標準的な木造住宅:12〜18万円前後
- 最新の図面作成が必要:+3~5万円
- 増築が多い・境界が不明:+7~10万円
建物の形状や資料の有無で費用は変動しますが、「相談の段階で確定見積り」を出すことが可能です。
■ 土地家屋調査士・竹内貞直のコメント
古い家の調査をしていると、図面が残っていないケースは本当に多いです。
特に昭和の建物は、大工さんの記憶だけで建てられていることもあり、資料がないのはむしろ“普通”といっていいくらいです。
「図面がないから登記できない」と思い込んで放置されている方も多いですが、
実際には、こちらで一つずつ調べていけば必ず形になります。(現地調査、役所調査、航空写真他の調査です)
相続や売却の前に動かれると、のちのトラブルを避けられる場面も多いので、気になる方は早めに相談していただくのが一番です。
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一般的に「登記漏れ」、「登記忘れ」、「登記されてない」「登記必要?」の建物と呼ばれています。
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