「昔からある家だけど、登記していない」
「父が建てたまま登記していない建物がある」
このような“未登記建物”は、実は珍しくありません。
しかし、登記していないまま相続や売却の話になると、
✅ 名義不明
✅ 書類不足
✅ 相続人の同意が得られない
などのトラブルが一気に表面化します。
今回は、土地家屋調査士が解説する
「古い未登記建物を登記するための3つのステップ」
を分かりやすく解説します。
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■ステップ① 現況確認と資料調査
まず最初に行うのは、現地と資料の確認です。
古い建物の場合、建築当時の資料が残っていないことが多いため、
次のような資料を可能な限り集めていきます。
- 固定資産税の課税明細書・評価証明書
- 建築確認通知書(ある場合)
- 工事請負契約書・古い図面・検査済証など
- 古写真や古地図
現地では、外気分断性・定着性・用途性など、
建物としての要件を満たしているかを確認します。
☑ 壁・屋根で外気を遮断している(外気分断性)
☑ 土地にしっかり定着している(定着性)
☑ 住居・倉庫・車庫など、明確な用途がある(用途性)
これらを確認することで、登記が可能な「建物」としての判断を行います。
■ステップ② 所有者を確定する(相続関係の確認)
次に重要なのが、誰の名義で登記するかを決めることです。
建物が古い場合、「父の代」「祖父の代」に建てられたケースが多く、
そのまま登記せずに相続が発生していることも少なくありません。
登記上の所有者を確定するためには、
- 被相続人(建築者)の死亡日
- 相続人の確定(戸籍謄本・除籍謄本)
- 遺産分割協議書 など
が必要です。
もし相続人が多く、話し合いが進まない場合は、
「建物表題登記」と「相続登記」をセットで整理するのが現実的です。
※登記の際には、建築者が誰なのかを証明する「第三者証明」や「上申書」が必要になることもあります。
■ステップ③ 調査・測量・登記申請
所有者と現況が確定したら、土地家屋調査士が現地測量・調査図面作成を行い、
法務局に「建物表題登記」を申請します。
添付する主な書類は以下のとおりです。
- 所有者の上申書
- 第三者の証明書(近隣住民など)
- 印鑑証明書
- 現況写真・建物平面図・配置図
書類が不足していても、現地調査や聞き取りで補完できるケースが多いので、
まずは専門家に相談することが大切です。
■登記しておくメリット
未登記建物を放置していると、
相続登記や売却時に「所有者不明」とされ、手続きが止まります。
登記を済ませることで、
- 所有者が明確になり、トラブルを防げる
- 固定資産税の課税内容が正確になる
- 補助金・保険・登記簿謄本などの手続きがスムーズになる
といった大きなメリットがあります。
■竹内貞直(土地家屋調査士・相続診断士)のコメント
“祖父や父の代から登記していない”という建物は、思っている以上に多いです。
相続や売却の話が出た瞬間に、初めて“未登記だった”と気づく方もいます。
相続登記義務化だけが話題になっていますが、
実は2026年4月からは「スマート登記(住所変更登記の義務化)」も始まります。
これは、住所変更を放置すると**過料(5万円)**が課される制度で、
「検索用情報の申出」をすれば、法務局が自動的に住所変更を行ってくれる仕組みです。
つまり、これからは登記全般において「放置が通用しない時代」になります。
登記は“今すぐ困っていない”と後回しにしがちですが、
気づいたときに動いておくことが最も確実なリスク回避になります。
未登記で書類がなくても、現地調査や聞き取りで対応できるケースは多くあります。
迷ったら、早めにご相談ください。
■まとめ
古い未登記建物を登記する流れは、次の3ステップです。
1️⃣ 現況確認と資料収集
2️⃣ 所有者(相続人)を確定
3️⃣ 調査・測量・登記申請
相続や売却の前に登記を整えておくことで、
“後回しにして困るトラブル”を防げます。
「昔の建物だから登記できないかも…」と諦める前に、
まずは現地調査から始めてみましょう。
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一般的に「登記漏れ」、「登記忘れ」、「登記されてない」「登記必要?」の建物と呼ばれています。
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