数次相続でも「滅失登記」はできる?
「祖父の名義のままの家を解体したいけど、登記していないからどうすればいい?」
こうした相談は非常に多く寄せられます。
実は、**数次相続(祖父→父→自分と相続が未整理)**の状態でも、
滅失登記(建物を登記簿から消す手続き)は可能です。
その理由は、滅失登記が**「処分行為」ではなく「管理行為」**に分類されるため。
つまり、相続人全員の同意がなくても、法定相続人のうち1人が申請人となって登記できるのです。
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「管理行為」としての滅失登記とは?
民法上、相続財産に対する行為は次の3種類に分類されます。
| 種類 | 内容 | 必要な同意 |
|---|---|---|
| 処分行為 | 売却・贈与・抵当権設定など | 全員の同意が必要 |
| 管理行為 | 登記・修繕・維持管理など | 代表者1人で可 |
| 保存行為 | 時効中断など | 1人で可 |
この中で**滅失登記は「管理行為」**にあたるため、
建物がすでに存在しないことが確認できれば、
**相続人のうち1人の申請で登記簿上から削除(滅失登記)**が可能です。
ただし「取り壊し」には全員の同意が必要!
注意すべきは、登記と解体は別の行為だということ。
- 滅失登記 … 建物を登記簿から削除する手続き
- 解体行為 … 建物の「現物を取り壊す」行為
実際に建物を取り壊す場合には、相続人全員の承諾・同意確認を取っておかないと、
後々トラブルの火種になります。
たとえば次のようなケースです:
- 「勝手に壊された」
- 「まだ思い出の品を取りに行っていない」
- 「相続分の補償を求める」
このような紛争に発展する例も少なくありません。
数次相続で滅失登記を行う流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 建物の現況確認 | 現地で建物が残っていないことを写真等で証明 |
| ② 登記簿・課税台帳の確認 | 名義が祖父や父のままかを確認 |
| ③ 相続関係の整理 | 戸籍を取得し、法定相続人を確定 |
| ④ 滅失登記の申請(相続人の1人で可) | 滅失証明書・取壊業者の証明等を添付 |
| ⑤ (解体予定がある場合)相続人全員の承諾取得 | 書面やLINE・メールでの同意記録も有効 |
放置したままだとどうなる?
数次相続で建物登記を放置していると、
- 所有者が不明
- 相続人が増え続ける
- 解体や売却が進まない
といった問題が次々と発生します。
登記が古いままだと、補助金申請や相続登記義務化にも対応できません。
「建物がすでにない」場合でも、滅失登記を済ませることで土地利用や売却がスムーズになります。
竹内貞直(土地家屋調査士・相続診断士)のコメント
「滅失登記は法定相続人のうち1人でも申請できます。
これは“管理行為”にあたるため、全員の同意がなくても手続き上は可能です。
しかし、実際に建物を取り壊すとなると話は別です。
相続人全員から『取り壊してもよい』という承諾を得ておかないと、
後から『勝手に壊された』『まだ使いたかった』と揉めるケースが多いのです。
相続関係が複雑な“数次相続”ほど、早めに専門家へご相談ください。」
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まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 滅失登記の扱い | 管理行為なので、相続人1人でも申請可 |
| 実際の解体 | 相続人全員の承諾を取得しておく |
| 数次相続の問題 | 相続人が増え、関係調整が難航 |
| 解決の第一歩 | 現況確認+登記簿・課税台帳の確認から |
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所有者が不明確で、土地や建物が「不動産登記簿」に登録されていない状態のこと。
一般的に「登記漏れ」、「登記忘れ」、「登記されてない」「登記必要?」の建物と呼ばれています。
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