(大津市の土地家屋調査士が解説)
◆まず結論:
未登記建物の登記は「自分でできる部分」もありますが、実は “途中で9割の方が行き詰まる” 手続きです。
理由は3つ。
- ① 建物図面・各階平面図の作成が専門的で難しい
- ② “一度でも不備があると” 法務局で差し戻し
- ③ 現地調査の抜け漏れで、後から補正地獄になる
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1. そもそも「未登記建物」とは?
建物を新築しても、必ずしも自動的に登記されるわけではありません。
以下に当てはまる場合は 登記義務の対象 です。
- 新築後、表題登記をしていない
- 相続・売却しようとしたら「登記がない」と言われた
- 古い建物で、そもそも登記記録がない
今は法律(不動産登記法)で 登記義務化 が進んでいるため、放置すると後々トラブルになります。
2. 未登記建物の表題登記は「どこまで自分でできる?」
結論としては下記のとおりです。
◆【自分でできる部分】
✓ ① 必要書類の収集
- 建築確認済証(あれば)
- 固定資産税の課税明細
- 工務店の図面(残っていればラッキー)
✓ ② 申請書(表題登記申請書)の基本記載
法務局サイトの様式を参考にすれば、記入自体は可能。
✓ ③ 法務局への相談・事前審査
相談窓口は利用可。ただし「作ってきた図面の修正方法までは教えてくれない」点に注意。
◆【自分では難しい部分(ほぼ全員がここで挫折)】
● ① 建物図面・各階平面図の作成
ここが最大の壁です。
- 壁の厚み
- 階段位置
- 水平距離
- 一部が吹き抜けかどうか
- 境界線との位置関係
特に 「建物が増築や改修を繰り返している場合」 は、
図面作成の難度が一気に跳ね上がります。
● ② 構造・用途の判定
例:
- 「軽量鉄骨」なのか「木造」なのか?
- 「物置兼車庫」はどう書く?
- 「店舗付き住宅」は“何の用途が主”か?
用途を誤ると、補正→再提出の流れに。
● ③ 墓場のように続く補正対応
法務局は “一字一句レベルで正確性” を求めます。
- 方位記載
- 縮尺
- 室内寸法の整合性
- 外周寸法との整合
- 実測値 vs 図面寸法の誤差
一度でもズレると、補正。
さらに補正。
場合によっては再測量。
多くの方がここで心が折れます。
◆自分でやりたい方に朗報
竹内土地家屋調査士事務所では、
「図面だけ依頼」「調査だけ依頼」など部分サポートも可能 です。
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3. 用意すべき必要書類(チェックリスト)
自分でやりたい方のために、必要書類をまとめます。
【チェックリスト】
① 建物調査票
構造・用途・階数などを記入。
② 各階平面図(縮尺付き)
- 室内寸法
- 壁の厚さ
- 階段の位置
- トイレ・風呂の配置
③ 建物図面
敷地との位置関係を記載。
④ 建築確認済証(無い場合の対処は後述)
⑤ 建築年月が分かる資料
- 工務店の契約書
- 課税明細
- 近隣聞き取り(ケースによっては可)
4. 【重要】建築確認済証や古い図面が「ない場合」どうする?
ここが一番多い質問です。
◆書類がなくても登記は可能
以下の方法で補完します。
- 現地で実測(プロが行う最も確実な方法)
- 工務店・大工さんの記憶
- 市役所での建築台帳(古すぎると残っていない)
- 固定資産税のヒアリング
書類がゼロでも進められますが…
誤った築年数・構造で登記すると、後に修正が困難。
ここだけプロに任せる方がほとんどです。
5. 【専門家視点】“図面の難所”を具体化
「どこが難しいのか?」を明確にします。
以下の部分は 素人が間違えやすく、補正が多発する場所 です。
◆① 階段の位置・形状
折れ曲がり階段は特に補正率高め。
◆② L字型・コの字型の外形
一辺でも誤差があると、全体が破綻します。
◆③ 増築を繰り返した建物
壁厚が部分で違い、図面が破綻しやすい。
◆④ 古い建物特有の“変形”
50年前の建物は直角が出ていないことが普通。
◆実例:私が実際に調査した「変わった建物」
今回とても印象的だった建物があります。
外観では「2階建てで上下同型」に見えるのに、
内部調査すると、1階の一部が“部屋ではなくコンクリートで完全に固められていた”。
外から見ただけでは絶対に分からない構造。
これを外観だけで図面化すると、必ず間違いになります。
内部調査がどれだけ重要か を痛感した事例です。
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6. 【失敗すると面倒】自分でやって途中から依頼するケース
これは本当に多いです。
- 図面を書いたが「縮尺が合わない」
- 法務局で3回補正
- 最後に「測量からやり直し」と言われる
- 最終的に全て依頼に
この場合、
最初から依頼するより費用が高くなる 場合があります。
7. 【まとめ】
- 未登記建物の登記は「自分でできる部分」もある
- ただし、図面・現地調査はほぼ専門領域
- 間違えると補正地獄&売却・相続で困る
- 「ここだけ依頼」も可能
- まずは無料で写真判断できます
最後に
あなたが今、
- 相続のために登記したい
- 売却前に急いで登記が必要
- 自分でできる部分を知りたい
- 書類がない
- 建物内部が複雑で不安
どれでも構いません。
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一般的に「登記漏れ」、「登記忘れ」、「登記されてない」「登記必要?」の建物と呼ばれています。
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